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2018年9月 6日 (木)

日本の低成長神話は単なる捏造

『経済政策の「第3の道」』(8/17 日経新聞「大機小機」)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO34296430X10C18A8920M00/
「経済政策についての議論はこれまで、もっぱら「リフレ派」と「構造改革派(改革派)」の2つの陣営で戦わされてきた。しかし、どちらの陣営も非現実的な政策を提言せざるを得なくなっている。(略)
 経済産業省のあるOBは、「第3の道」があり得ると主張する。氏によれば、日本の実力相応の成長率は実質1%ほどで、リフレ派や改革派が目指す2~3%以上の成長はそもそも不可能。超長期的な低成長を甘受したうえで、漢方薬的な「体質改善路線」を目指すべきだというのだ。
 具体的な処方箋は次の通りだ。
 今後30年程度の超長期の間、名目経済成長率1%、インフレ率0.5%、名目金利0%を維持するように、緩和的な金融政策を続ける。これは0.5%の実質成長とマイナス0.5%の実質金利の組み合わせだから、政府の債務膨張は抑えられる。この間の社会保障費の支出増や景気対策は国債発行によって賄い、痛みをもたらす大増税や歳出削減はしない。
 この金融政策でマクロ経済環境を安定させている間に、30年かけて労働市場や雇用慣行の改革を進める。これで75歳まで働くのが当たり前の社会になれば、高齢化がピークを過ぎる30年後には、社会保障給付費が単年度黒字になる可能性が十分あるという。(略)」

アベノミクスの停滞ぶりに業を煮やしたのか、さしもの日経も構造改革派(緊縮派を含む)やリフレ派の的外れな“ど根性経済政策”の失敗を認めざるを得ないようだ。(※大機小機の執筆者は外部識者ゆえ、=日経の論調とはならないが…)

なにしろ、7月の景気ウォッチャー調査では現状判断DIが前月差1.5ポイント低下の46.6と年初からずっと低迷したまま。
6月の消費支出(二人以上世帯)も267,641円と前年同月比で実質▲1.2%、名目▲0.4%と、こちらも今年2月以降連続で対前年比マイナスの低空飛行が続いている。

一敗地にまみれた個人消費の惨状を突きつけられてなお、“アベノミクスは大成功”と胸を張れるバカはよほどの変わり者だ。
これまでアベノミクスへの賛辞を惜しまなかった日経も、そのバカの一人だったが、さすがにフォローし切れなくなったのか。

ただし、一見、反省の色を見せる日経が、積極財政金融政策を柱とする経済政策の大転換に賛成するかと言えば、決してそうではない。

経産省OBとやらの声を借りて、「この間の社会保障費の支出増や景気対策は国債発行によって賄い、痛みをもたらす大増税や歳出削減はしない」と国債の大規模発行による社保や景気対策の財源捻出に触れたのは一歩前進だと言える。

だが、すかさず、
①日本の実力相応の成長率は実質1%ほど。超長期的な低成長を甘受しろ
②30年かけて労働市場や雇用慣行の改革を断行しろ
③75歳まで働くのが当たり前の社会にしろ
と、“改革・緊縮ワード”を無理やりぶち込んでくるあたり、彼らが本当に反省しているとは思えない。

①は低所得社会の常態化、②は終身雇用制度や年功逓増型給与の撤廃、③は年金支給開始年齢の引き上げを意図したものであり、いずれも日本経済を低成長型の虚弱体質に貶めた“病原菌”だ。

“漢方薬的な「体質改善路線」を目指すべき”なんて呑気なことを言っているが、上記①~③は漢方薬どころか、ボツリヌス菌のような毒薬でしかない。

日経的緊縮・改革礼賛思考に染まった連中は、「景気が上向いてきた→改革のチャンスだ‼」か「景気が悪い→改革が足りないからだ‼」と、寝ても覚めても改革しか言わぬ九官鳥のようなものだ。

だいたい、日本は20年以上も世界でも稀な「超低成長」に甘んじてきたのだから、成長の余地は十二分にある。
衰えたりとはいえ、世界トップクラスの供給力と消費力を有する先進国の地位にありながら、日本の実力相応の成長率はせいぜい実質1%程度なんて知ったかぶりをするのは、経済のダイナミズムを解さぬド素人の勝手な妄想に過ぎない。

90点を取り続けた優等生に95点を取れと命じるのは酷だが、30点しか取れぬナマケモノに60点取れと要求するのは、何も難しいことではなかろう。

いまの日本なら、政府が国債発行や日銀買取による財源創出を基に、公共インフラ整備や社会保障費の拡充、科学技術振興、教育無償化、防衛力強化、農林漁業振興、先端医療開発などを軸とする15~20年の超長期需要拡大計画をぶち上げれば、名目値で7~8%の成長を遂げても何の不思議もない。

人材、教育水準、高度な規範意識、生産力、技術力、流通網といった成長の基盤なきところにいくらカネをばら撒いても何の化学変化も起き得ないが、そうした素地が整備されている日本なら、投じた需要(消費や投資に直結するカネ)の大きさに比例して高度な成長を遂げることができるだろう。

緊縮や改革の押し付けにより経済成長の源泉を締め上げておきながら、「日本はもう成長しない」と嘆くふりをする病原菌の大嘘に騙されてはならない。

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