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2018年9月20日 (木)

バラマキよ永遠に

『自民党総裁選から見えてくる、日本経済のとても悲しい未来』(8/31 DIAMOND Online 岸博幸 慶応大大学院メディアデザイン研究科教授)
https://diamond.jp/articles/-/178634?page=1
「自民党総裁選は安倍晋三首相と石破茂氏の一騎打ちとなりましたが、安倍首相の圧勝となる可能性が高く、両者による討論会も最低限しか行なわれないようで、つまらない総裁選になりつつあります。(略)」

開票前から結果の明らかな選挙ほどつまらぬものはない。
自民党総裁選は本日投開票されるが、石破氏の勝利を予想する者は誰もおるまい。

上記コラムで岸氏は、いかにも改革かぶれの緊縮信者らしい見解を述べている。

石破氏に対しては、日本創成会議、地方創生機構、経済金融総合対応会議などの会議体設置を訴えるのみで改革に邁進する具体的な政策がまったく見えない、と批判している。

一方、安倍首相に対しては、憲法改正に本腰を入れるため公明党の協力が必要で、来春の統一地方選で公明党を勝たせるために地方票取り込みを狙って大規模なバラマキをやりかねない、と危惧している。

政権奪取当初ならいざ知らず、二年目以降の安倍政権は、政策経費は髪の毛ほどの微増に抑制、補正予算は毎年縮減といった具合に、聖域なき歳出カットの御旗の下で「緊縮的財政運営」に終始しており、地方への大規模なバラマキなんてやるはずがない。

緊縮信者の濁った眼には、安倍政権が“積極財政派”に映るようだが、事実誤認も甚だしい。

また、安倍首相が本気で憲法改正を発議するのではと懸念しているようだが、政権発足後6年近くも経ち、その間、公明党や維新などを含め、ほぼ改憲勢力を維持してきたにもかかわらず、発議はおろか、まともな議論すらやってこなかったのだから、この先数ヶ月で事態が急に動くとは到底思えない。

しかも、来年は統一地方選、新天皇の即位、参院選、消費増税と政治的ビッグイベントが目白押しであり、改憲の機運やタイミングを計るには都合が悪い。
恐らく安倍ちゃんは、こうした行事を言い訳にして改憲をはぐらかし続けるだろう。

さて、今回の岸氏のコラムを読んで気になったのは、「年末の予算編成でバラマキを行なうのは、もちろん来年10月の消費税再増税に伴う景気の落ち込みを防ぐ観点からも、必要ではあります」、「財政出動による景気浮揚の効果はせいぜい1年半くらいしか続かず」という記述だ。

つまり、彼のようなガチガチの緊縮信者であっても、財政政策の経済効果を少なくとも“短期的”には認めざるを得ないという点だ。

これまた緊縮石頭で有名な池田信夫氏も、別のコラムで、「たとえば政府が瓶に1億円を入れて深い穴の底に埋めると、GDPは1億円ふえます。企業がこれを掘り出す人をやとうと、彼らの給料も出るのでGDPは1億円以上ふえるでしょう。これを乗数効果といいます。むしろ景気回復のためだけなら、むだづかいのほうがいいのです。(略)」と、財政政策が乗数効果を伴い景気回復に役立つことを(嫌々ながら)認めている。
【参照先】http://agora-web.jp/archives/2029110.html

重度の緊縮信者を以ってしても、景気回復のスピード感で財政政策に勝るものはないと平伏せざるを得ないのが現実だが、彼らの負け惜しみが真価を発揮するのはこの後だ。

“財政危機の日本がバラマキを永遠に続けることはできない。金利が上がり、インフレになるからだ”とお決まりの脅し文句が飛んでくる。
だが、幼稚な脅迫文はすでに散々論破されており、もはや何の迫力もない。

我が国の国債は、大半が自国通貨建ての内国債で、かつ、所有者も国内機関で占められている。
また、発行額の4割以上を事実上の政府機関である日銀が保有しており、実質債務額はその分だけレスされる。

そもそも、十分な生産能力と通貨発行権という大権を有する近代国家であれば、自国通貨建て債務の返済に頭を悩ます必要などない。

よって、日本が財政危機というフレーズはまったく誤りであり、いまだにこうした言葉を使うのは、現実逃避を繰り返す経済素人だと断じてよい。

さらに、金利高騰やインフレに対する懸念だが、これは単なる杞憂だ。

実体経済の動きに疎い連中は、「バラマキ=金利高騰」だと騒ぎ立てるが、コンロにやかんをかけるとすぐに沸騰するかのように、勝手に公式化し、勘違いしていないか?

経済の動きは複雑怪奇であり、“コーヒーに砂糖を入れると甘くなる”ような訳には行かない。

なるほど、家庭用の小さなやかんの水なら、数分のうちに沸騰するだろうが、ドラム缶やプールの水、石油タンクレベルの膨大な量の水は、ちょっとばかりの熱エネルギーでは、到底沸騰させられない。

長引くデフレ不況下で、家計にしろ、企業にしろ、預金超過の量は膨大になる。

家計の金融資産は1,900兆円に迫り債務を除いた純資産は1,600兆円近くにもなる。
また、日本企業全体の借入残高は600兆円近かったピーク時より3割程度もダウンし、逆に現預金残高は200兆円超え、利益剰余金は400兆円超えと何れも過去最高を記録するなど、手元資金は有り余っている。

これは、国内銀行の預貸差が290兆円近くにも増え続けている(カウント外の郵貯、農協、信託、労金などを加味すれば、差額はさらに増える)のを見ても明らかで、世は空前のカネ余り現象の様相を呈している。
これは、とりもなおさず“巨額の貸出需要(需資)不足”を意味しており、財政政策で毎年十数兆円程度をバラまいたところで、急激に金利が上昇するような環境にはない。

“バラマキ→即、金利高騰”と怯えるのは、頭でっかちな妄想家の早合点に過ぎず、少々多目に資金を撒いても、銀行の融資金利が1%から5%とか10%に急騰する訳がなかろう。

バラマキで景気が良くなれば、実体経済を巡る資金の流れも良くなり、資金循環のスピードも上がるから、企業の手元流動性は潤沢になり、運転資金需要は思ったほど増えないと見込まれ、金利上昇のスピードはマイルド化するから、急激な金利高騰やコストプッシュ型のインフレは考えづらい。

ついでに、「バラマキは永遠に続けられない」という緊縮バカの決まり文句のアホらしさも指摘しておく。

財政支出は、実体経済活動のエネルギーやパワーの源泉となる「所得や売上に直結するおカネ」を産み出す経済の源流であり、これを堰き止めるのは「文明社会の放棄」にも等しい大愚行だと言える。

緊縮信者は新自由主義者の連中は、民間にあるマネーだけで経済成長できると勘違いしているが、貨幣を創造できない民間経済主体同士の商取引をいくら繰り返しても、世の中にある貨幣の総量(=所得や売上に直結する貨幣の量)は増えないから、やがて、カネの奪い合いと富の偏在に苦しむことになるだろう。

バラマキの経済効果が一年あるいは一年半もつなら、バラマキを100年続ければ100~150年経済が活性化されるはずだ。
つまり、バラマキをやり続けるだけ経済効果が持続するのだから、何も無理やり止める必要などない。

格好つけてバラマキを止めデフレ不況に苦しむよりも、間断なきバラマキと聖域なき財政支出を続け、経済が活況を呈する好環境下で、生産性UPや技術革新といった必要な改革に取り組む方が、社会的ダメージは遥かに軽微だし、改革の成果も出やすいだろう。

家屋を修理するなら、荒天の闇夜の最中よりも、たとえ猛暑であっても陽の高いうちにやる方が、はるかに楽なはずだ。

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コメント

政府が国民に"預金用の金"を無限にばらまいても大丈夫というお墨付きですね。

>774さん

政府が気にしないといけないのは、通貨の価値云々ではなく、国民の懐具合の方ですよね。

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