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2019年1月10日 (木)

奴隷不足を美談にするな!

昨年、与党や安倍政権から改正入管法が提出された際には、“事実上の移民解禁だ”、“人手不足じゃない、単なる奴隷不足だ”、“人手不足は雇用条件改善のチャンスなのに、それを潰す気か”と方々から非難の嵐が起きた。

しかし、いまやマスコミの論調は、「移民の人権をいかに保護すべきか」、「移民に選択されるために日本はどう変わるべきか」という具合に変化し、移民受け入れは当然という前提の下で、日本人に多文化共生社会という害悪しかない腐れ文化を押し付ける気マンマンだ。

『東北でさえ「低賃金」の外国人に頼り切る現実~企業や社会の維持に手前勝手はもう通じない』(1/8 東洋経済ONLINE)
https://toyokeizai.net/articles/-/258918?page=1
「「あんな不毛な論争をやっていたんじゃ、日本には誰も来てくれなくなる。質問する野党議員も、取り繕って答弁するばかりの政府も、地方の窮状がまるでわかっていない」
宮城県気仙沼市でワカメやコンブの加工業を営む「かわむら」の川村賢壽会長は、昨年秋の国会で審議された入管法(出入国管理法)改正案の審議を見ながら、いら立ちが収まらなかった。「外国人を最低賃金以下で使い倒すとかパスポートを没収するとか、そんなことをやっている会社がなぜ生き残れている。国は何をやってきたんだ。法律違反を犯す会社があれば2度と外国人労働者を雇えなくなるくらいのペナルティーを与えるくらいのつもりで制度運用すべきだ」
外国人労働者の人権をないがしろにする会社の蔓延に、川村会長が危機感を募らせるのは、技能実習生の存在なくして現場が回らないことを、ここ数年で痛いほど感じてきたからだ。(略)」

東洋経済の記事に紹介された㈱かわむら(宮城県気仙沼市)の川村社長は、外国人労働者を最低賃金以下で扱き使おうとする悪徳事業者に憤り、心の通った指導や交流の大切さを説いている。

筆者は、そうした態度に文句を言う気はない。

ただ、彼が、「3K職場には誰も来てくれない」、「外国人技能実習生の存在なくして現場は回らない」、「移民反対云々とグズっていると、外国人労働者が誰も来てくれなくなる」といった趣旨の発言を繰り返していることを本当に情けなく思う。

こういった低収益労働の常態化を前提とした移民不可避論により、不況下で苦しい経営を強いられる経営者や貧困脱出を目指す出稼ぎ労働者が悲劇の主人公に祭り上げられ、移民推進派や、経済政策を放棄し貧民輸出を企てる後進国の為政者らに都合よく利用される。

“人手が足りない”、“募集をかけても応募がない”、“日本で少しでも稼ぎたい”という現実に直面する悲劇サイドの人間たちは、目の前の苦境から逃れるために移民解禁に賛成して互いを利用しようとする。

だが、「国内労働条件悪化の放置→国民所得の長期低迷→需要不足による長期不況」という構造問題を解決せぬ限り、間違いなく10年後も、彼らは悩みの淵に沈んだまま同じような愚痴をこぼし続けているだろう。

川村氏は、外国人労働者の雇用に人一倍気を配っているかのように美談仕立てで語っているが、最低賃金を守るなんて至極当然であり、別段自慢するほどのことでもない。

ちなみに、宮城県の最低賃金は時給798円と、8時間/月25日労働でも総支給ベースで月額16万円ほどにしかならず、実家住まいでもないと到底自活できるレベルじゃない。

しかも、件の㈱かわむらの募集条件をネットの求人情報(正社員)で拾ってみると、作業内容はわかめ・サケなどの加工現場での作業、1日9時間、月時間外26時間、休日:日祝のみ、年間休日87日で月給13.8~18.1万円、つまり、ほぼ最低賃金ギリギリの給与水準という体たらくだ。

こんな劣悪な条件で募集をかけておいて“一生懸命やっていますヅラ”されても困る。
日本人どころか、そのうちベトナム人やインドネシア人にもそっぽを向かれるだろう。

学生バイト以下の低賃金を堂々と提示しておいて、人が来ないと嘆くバカ者には、「お前なら、こんなところで働くの?」と問うてみたい。

事実、東洋経済のコメント欄にも、
「日本政府はブラック企業に対して甘すぎる」、
「外国人でなく職探しをしている人は多いです。高齢者の職探しはとても多い。主婦も仕事探しをしている人は多いです。ニートは60万人以上いる。日本人から人手を確保する仕組みが必要だと思います。適正な給料を払い、適正な労働環境にすると人は集まると思います」、
「外国人を入れなくても失業者はいっぱいいる。ブラック企業を淘汰して、安心して働ける社会を作るのが先。ブラック企業の延命策は要らない」
等々、手厳しいコメントが寄せられている。

筆者が業務上で支援する中小零細企業の多くは、その財務内容を見ると経常赤字や営業赤字を余儀なくされる先も目立ち、最終黒字を計上してもたったの数十万円ほど(実態は赤字経営)のところがほとんどであり、川村氏の嘆きもよく解る。
時給を上げたくとも、数十円上げただけでたちまち赤字に陥り、資金繰りに窮してしまうのは目に見えている。

だが、そうした苦境を解っていながらも、本稿では、移民なくして仕事が回らないと弱音を吐く経営者を敢えて厳しく批判する。

彼らは、外国人労働者に逃げられぬよう何かと気配りし、心を砕いているようだが、果たして日本人労働者にも同じような配慮をしているのか?
移民優遇にばかり目が行き、肝心の日本人の待遇改善への努力はなされているのか?

経営者が“不況下で価格転嫁不能→赤字受注ばかりで収益低下→人件費捻出不能→労働待遇低下→人材流出→求人不発→移民頼み→外国人への媚び諂い”という衰退へのスパイラルを断ち切る努力をせぬままだと、やがてベトナム人やインドネシア人を中国に取られ、イエメン人やザイール人を探しに行かざるを得なくなるだろう。

現況の人手不足は、数百万人規模で存在する国内労働人材に十分な雇用条件を提示できぬまま無駄に腐らすだけで、“奴隷並みの悪条件で大人しく働く奴がいない”と嘆く「奴隷不足(=エア人手不足)」であり、低賃金労働を常態化させたいだけの経営サイドの我が儘やだだ捏ねレベルの話でしかない。

この指摘に文句がある経営者には、奴隷が足りないと国民に甘える前に、問題の根本である不況脱出への具体策に目を向け、その解決を図るよう政治家に文句をつけて来いと言っておく。

緊縮主義に押されて、“財政支出は無駄遣い”、“消費税は不可避”だのと逆噴射政策を呑み、“モノが売れない”、“給料を払えない”、“奴隷がいない”と愚痴をこぼすバカ者には、経営者たる資格がない。

「給料を上げたくとも不況で価格を上げられない」と嘆くのなら、自社製品に十分な付加価値を付けられる(=値段が高くても売れる)ような経済環境の実現にこそ汗をかくべきであり、積極的な財政金融政策の実行による所得UPと消費活性化に賛成すべきだ。

それも出来ぬのなら、雇用の受け皿がなくなるのは残念だが、奴隷労働並みの雇用条件しか提示できぬ以上、もはや企業としての使命を終えていると言うべきで、大人しく退場してもらいたい。

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コメント

本来超長期的需要を作り出すのが政治家と官僚の仕事のうちに入っている気がするんですよね。
出来ないなら多分その仕事には向いていない。

超長期的需要に関わると既得権益とか言い出すんですよ。
其の手の世襲とか閨閥への取り込みとかは別口で取捨選択ですね。

>774さん

仰るとおり、民間需要の創出は政治家や官僚の最大の仕事の一つですね。

彼らが、経済のことは民間に放り投げて、自分たちは天下国家を論じておればよいよ思っているなら、相当なバカ者だと思います。

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