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2019年3月21日 (木)

賃金が上がらない原因は?

『日本人の給料がほとんど上がらない5つの要因~90年代以降の平均上昇額はわずか7万円程度』(東洋経済ONLINE 岩崎博充:経済ジャーナリスト)
https://toyokeizai.net/articles/-/267883

上記のコラムで岩崎氏は、国税庁の「民間給与実態統計調査」のデータを基に、日本人の平均給与は1990~2017年の27年間で425万円→432万円と、わずか7万円しか上がっていないと指摘している。

そればかりか、1997年=100とした場合の「実質賃金指数(2016年基準)」で見ると、アメリカ(115.3)、イギリス(125.3)、フランス(126.4)などが1~2割以上も伸ばしているのと対照的に、我が国は89.7と逆に1割以上も下落していると喝破する。

製造業が死滅したかのように映るイギリスでさえ2割以上も実質賃金を伸ばせているのに、過労死が頻発するほど働き詰めの我が国の賃金指数が20年も前より減っているなんて、絶対あってはならないことだ。

我が国がこうした悲劇や敗北の憂き目に晒された原因は、ひとえに消費や投資の長期停滞に伴う内需の不振によるものだが、長期不況と所得縮小を惹き起こした緊縮主義者や新自由主義者のバカどもは、ちゃんと反省しているのか?

さて、コラムの中で岩崎氏は、日本の賃金が上昇しない要因として、
①労働組合の弱体化
②非正規雇用者の増加
③少子高齢化の影響
④内部留保を貯め込んで賃金を上げない経営者
⑤規制緩和の遅れがもたらした賃金低迷
の5つを挙げている。

上記①~④には筆者も同意する。
特に、岩崎氏が④について、「バブル崩壊以前は、社員こそ最大の資源、という具合に会社も賃上げに積極的だった。優秀な人間は、一生をかけてでも育て上げていく、というのが日本企業の大きな特徴だった。それが、バブル崩壊以後は雇用さえ確保しておけば、賃上げなんていう贅沢は言わせない、という雰囲気に変わってきた」と述べ、企業が人材投資を怠り雇用の質を貶めてきたのを批判する姿勢は正しい。

ただ、残念ながら最後の⑤が無茶苦茶で酷い内容だ。

彼はこう説明する。
「通信や交通エネルギーなどの公共料金分野は、規制緩和の遅れで現在も新規参入を阻害し価格の抑制や引き下げが遅れてしまった。価格が上がらなかったことで顧客満足度が増し、製品やサービスの価格が低く抑えられたまま日本経済は推移している。
そのツケが、従業員の賃金の上昇を抑えてきたといっていい。スーパーやコンビニ、スマホ(通信)、宅配便、外食産業といった業種では、価格が低く抑えられてきたために、賃金がいつまでたっても上昇しない。
企業経営者や行政の怠慢によって、適正な価格競争が起こらなかった結果といえる。(略)」

【規制緩和の遅れ】→【価格上昇を抑制】という謎理論にはまったく恐れ入る。
彼は、「企業経営者や行政の怠慢によって、適正な価格競争が起こらなかった」と嘆くが、事実は真逆で、小泉バカ政権以来の野放図な規制緩和により行き過ぎた価格競争が生じ、そのせいで企業の売上や利益が伸びず賃金抑制につながったのは、誰の目にも明らかだろう。

平成不況を演出したのは、政府が推し進めた暴力的かつ無計画な規制緩和や、中小企業の財務を破壊した激烈な価格競争が惹き起こした内需縮小のせいであり、その引き鉄を引いたのは、緊縮主義者が好む、日本はもう成長できない、成長すべきではないという「反成長思想・反国民主義」である。

無計画な規制緩和によって、業種・業界の垣根取り払われ、財務力に乏しい中小企業は異業種や大企業との競争に、我が国自慢の製造業は低賃金労働と技術盗用を屁とも思わぬ外国企業との競争に晒され、体力を擦り減らし続けてきた。
岩崎氏が紹介した日本の実質賃金の驚くべき凋落ぶりの原因もこの辺にある。

近頃の政治家や官僚はTPPだEPAだと、体力の弱り切った国内産業を寒風に晒して苛め抜けば財務が筋肉質に生まれ変わると勘違いしているが、野放図な規制緩和や市場開放は国内市場の価格破壊と市場収奪を招くだけで、岩崎氏が嘆くような従業員の賃金上昇を抑制するアンカーにしかならない。

安倍政権や与党の連中は、【野放図な規制緩和や市場開放】→【効果の乏しい産業強化政策】といった“強烈なブレーキとアクセルのチョイ踏み”という意味不明な政策をとり続けてきたが、その結果が“世界でたった一つの実質賃金マイナス国家”という迷惑な称号だ。

くだらぬ規制緩和や緊縮政策は、反成長主義を助長する愚策でしかない。
このまま、“規制緩和の遅れが賃金低迷をもたらす”なんて、とんでもない勘違いをし続けると、20年後の我が国の賃金指数は50~60くらいにまで落ち込んでいるだろう。

規制緩和を手放しで礼賛する馬鹿者には、「いいかげんに目を覚ませ」と厳しく叱りつけておきたい。

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